竹の歌
来年の大分県での国民文化祭のテーマは「竹」です。御存じだと思いますが、マダケの生産量は大分県が全国一なのです。本県のマダケは、弾力性が強く折れにくいので竹加工製品に最も適しているといわれています。もちろん、竹製品も日本一なのです。
そこで、今回ロータリー万葉は竹の歌です。作者は有名な万葉編集者大伴家持です。
我がやどのいささ群竹吹く風の
音のかそけきこの夕ベかも
「いささ」は、いささかの、わずかなでありましょう。「音のかそけき」は、吹き過ぎて行く風の音の薄れゆくこと、かすかになってゆくことです。「わが家のわずかしかない群竹に吹く風の音のかすかなこの夕方であることよ」という意味です。この竹をわたるかすかな風を媒介として創造された静寂の世界は、万葉集の到達しえたすぐれた歌境のひとつといえましょう。
ところで、未年の国民文化祭で県洋舞協会が「竹」をテーマのバレーを合同出演で催します。そこで私が台本を頼まれましたので、やはり大分に関係のある竹のストーリーをと思いまして、天孫ニニギノミコトが高天原から久住山の麓に降臨してくることから始めたのです。「古事記」や「日本書紀」にでてくる天孫降臨の場所は、「久士布流岳」となっています。「クジフル」とは「クジフ」であって現在の久住山(l787m)、九州で一番高い山が目標になるのは当然です。そこの盆地といえば「クス」(玖珠)です。そこから川を下ってゆくとすれば山国川でしょう。そうして「古事記」に出てくる「豊葦原の中つ国」に落ちつく訳ですが、豊国の中つ国といえば現在の中津市、まさに二豊の真中にあるのです。
そこで、ニニギノミコトはコノハナサクヤヒメという美しい女性と結婚します。まもなくヒメは身ごもります。竹で編んだ籠の中に入って出産をします。こうして生まれたのが海彦と山彦です。二人の御子の臍の緒を竹の刀で切りました。その竹刀をパッと役げすてますと、そこがたちまち一面の竹林となるのです。これは「古事記」にちゃんと書いてあることです。こうした竹林から例のカグヤ姫の「竹取物語」が生まれてくるのです。このプロローグの部分をバレーの台本として書いたのです。雲の沸きたつ久住山からの天孫降臨に始まる絢燭たるバレーを夢みています。
ロータリー万葉50首に戻る