うぐいすの初音
前回の例会で松尾先生からお宅の庭に鴬が来て初鳴きをされたというお報せがあり、スマイル一封が寄せられました。そこでロータリー万葉は「鴬の歌」を御紹介します。
鴬は、万葉集では51種詠まれています。鳥で最も多く歌われているのはホトトギス150種、二番目がガンで67種、そして鴬は三番目のなります。
春さればまず鳴く鳥のうぐひすの
言先立ちし君をし待たむ
読人不詳ですから、ごく普通の庶民の詠んだものです。「春されば」とは、春になることです。「春になるとまっさきに鳴く鳥、そのウグイスのように、まず最初に私に恋の告自をしたあなたのほうから誘うのがほんとうよ、私はそれをただお待ちしています」という意昧でしょう。鴬は春になるとまっさきに鳴く烏、春をもたらす春告鳥ともいいます。春を告げるというのは、愛情の告白です。鴬の鳴き声は愛の告白のことなのです。
そして愛の告白は男からすべきで、女からしてはならないという信じ方がありました。それで、まず愛の告白をする鴬は男となるわけです。ウグイス嬢といえば、選挙にはつきものですが、ほんとうはウグイス野郎なのです。
「古事記」(7l2年成立)の神話によれば、男の神イザナキノミコトと女の神イザナミノ ミコトが神としてはじめて「みとのまぐはひ」を行ったとき、最初に女神が「あなにやし、 えをとこ(ほんとうにまあ、すばらしい男性ですわ)」と言ってから関係したところ、不良 の子が生まれてしまった。そこで、男神の方から先に「あなにやし えをとめ」と言いなおして関係したら、満足な立派な子供が出産したというのがあります。
しかし、こういう愛情物語だけで万葉人は烏をみていたわけではありません。自然観察もみごとにやっていました。2番目の歌がそうです。
ウグイスの巣にホトトギスが卵を生みおとします。ホトトギスは自分でヒナを育てないのです。ウグイスはそれとは知らずに卵をあたためます。ヒナが生まれてくるとホトトギスのヒナはウグイスのヒナを本能的に全部巣の外におし出して落としてしまいます。テレビでもその状況がありましたが、目の見えないヒナのすさまじい生の戦いぶりには恐怖さえ感じました。万葉人もちゃんとそういう習性をよく観察しているのです。
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