<ロータリー万葉50首>


常めづらしき

 結婚して50年の夫婦のお祝を金婚式といいます。最近の新聞によく金婚式夫婦の表彰を行っている市町村が報道されています。私も来年のl月4日で金婚式になる予定でしたが、妻はすでにあの世にいきましたので、残念ながら金(均)の婚にはなりませんでした。
 ところで、万葉集の今回の歌は、その金婚式を迎えようとする年ごろの夫婦を詠んだ歌です。

        難波人葦火焚く屋の煤してあれど
          己が妻こそ常めづらしき

 作者未詳ですが、難波人というのは大阪の人のことです。当時の大阪湾は現代の大阪城あたりの所まで海でした。遠浅で岸には葦がたくさん生えていました。遠浅ですから船の出入りには困ったようです。浅瀬には竹で三角形にくんたミオツクシというものをたてて坐礁を防ぎました。その竹の三角形のミオツクシが今の大阪市の市章になっているのです。
 難波の人たちは、その華を乾して焚物にしました。煮焚き、暖房には全部葦火をたいたのです。ですから、家の中が煤けて真黒くなり、相当くたぴれてきます。金婚式を迎える我々夫婦もそれと全く同じです。妻を見るともう煤けて真黒でくたびれてしまっています。死んだわが妻もそうでした。60歳を超えたころは、一緒にテレビを見ていると、テレビには由美かおるのようなスタイルのぴちぴちした女優が出ています。ふと横を見ると、わが妻のなんとくたぴれていることか、まさに煤してあれどです。
 しかし、この歌は次の下の句が、まことにいいのです。そんなに黒くなってくたびれている妻だが、じっとみているとなんといとしい、ことか。「己が妻こそつねめづらしき」というのは、そういう意味なのです。
 わがロータリーでも毎週、結婚記念日のお祝いをみんなで拍手していますが、まことにいいことです。妻は年季が入れば入るほど、どことなくいとしいものがにじみでてくるものです。  どうぞ、皆様も奥様を大切にして金婚式をぜひ迎えてください。


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