<ロータリー万葉50首>


味酒と蘇

   奈良の平城京の近くに長屋王の邸宅が最近発掘されています。長屋王は第40代天武天皇の孫で、当時は左大臣となって政権をふるいました。邸宅の広さは甲子園の2倍もあり、この作で春秋の歌会の宴を開いたり、新羅の客を迎えて大宴会を催したりして一大サロンを誇っていた。今日のロータリー万葉50首は、その長屋王の歌です。

 味酒三輪の社の山照らす
     秋の黄葉の散らまく惜しも

 (味酒は三論にかかる枕調)三輪山の御神体である大神神社の山を照らす秋の紅葉の散るのが惜しいというのが歌の意味です。
 長屋王は藤原氏の娘を聖武天皇の正式の皇后にすることに反対して藤原宇合等に邸宅に火を放たれ妻子とともに自害します。この邸宅跡から、今4万枚近くの木簡が発掘されています。墨字は千年以上たっても消えません。今、ていねいに水洗いされて、次々と新しい記録内容が報告されています。
    この木簡の記事によると、当時澄酒に夏は氷のカチ割りを入れてオンザロックで飲んでいたことも判明しました。冬期に、氷を切出して奈良山の日の当たらないところに深さmの氷室を作っておって氷を夏まで保存しておくのです。
 夏にこれを切出して馬にかるわせて大邸宅まで運ばせたということが木簡に記されてあったのです。当時のこういう人たちは結構高度な生活をしていたのです。
 牛乳も飲んでいます。今の神戸あたりから牛乳を毎朝2升も連ばせたということもわかってきました。牛乳をゆっくりと特殊方法で煮つめたチーズの仲間、(蘇)を作って賞味していた。しぽりたての生乳をこげつかさないように7〜8時間火にかけ、水分を取ると赤味をおびたべージュ色のかたまりができます。これを型ワクに入れ、形をととのえ約5cm×6cm、厚さ3cmの大きさにしたものです。先日、明日香路の万葉の旅で、この蘇が手に入りました。これがその蘇です。試食してみませんか。味は、まろやかで、ほんのり甘昧があって大変香ばしく、いだいた後も口中がほんのりとしていて、いかにも上品で栄養たっぷりの美品です。この蘇を復原するには学者などの意見をよく聞いて、長い間の苦心によって出来上った品です。どうぞ御賞昧してください。


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